東京をバイオテクノロジーの中心地にする取り組み
現代のバイオテクノロジー産業は、医療や創薬にとどまらず、再生医療、健康技術、デジタルヘルス、環境・エネルギー部門への応用などの分野を含んでおり、日本だけでも推定3,960億米ドル(57兆円)*1の規模に達しています。
日本政府は、バイオテクノロジー産業の期待される経済効果と、カーボンニュートラルを中心とする現在のグローバルな社会課題の解決にそれが果たす中心的な役割を考慮し、バイオテクノロジー産業に対する支援策を実施しています。特に、2024年6月に策定された「バイオエコノミー戦略」では、5つの主要市場分野を定め、2030年までに国内外で6,940億米ドル(100兆円)規模*2の市場を創出することを目指しています。
日本政府が2030年までに拡大を目指す5つの主要市場分野
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1.
バイオものづくり・バイオ由来製品
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2.
持続的一次生産システム
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3.
木材活用大型建築・スマート林業
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4.
バイオ医薬品・再生医療・細胞治療・遺伝子治療関連産業
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5.
生活習慣改善ヘルスケア、デジタルヘルス
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参照:
令和6年6月閣議決定「統合イノベーション戦略 2024」
Greater Tokyo Biocommunity(GTB)の8つの拠点
これと並行して、バイオテクノロジー産業を活性化させる「バイオコミュニティ」が日本各地に形成されています。北海道から沖縄まで、バイオテクノロジーに携わる企業や大学、研究開発機関が集積する6つの地域が「地域バイオコミュニティ」に認定されています。大阪と東京の主要地域は、国際的にバイオテクノロジー産業をリードする可能性を秘めており、「グローバルバイオコミュニティ」に認定されています。
一般財団法人バイオインダストリー協会(JBA)事業連携推進部長の森下節夫氏は、Greater Tokyo Biocommunity(GTB)*3事務局のメンバーでもあり、次のように述べています。「バイオ産業は多様な技術を集積した産業であり、日本は世界でも数少ない医薬品を開発できる国の1つです」。
一般財団法人バイオインダストリー協会(JBA)事業連携推進部長 森下 節夫 氏
海外パートナーとの連携の様子
「欧米ではコロナ後のバイオテクノロジー投資が最近減少している一方で、日本市場では堅調な伸びが続いています。日本の物理化学分野の高い技術力とバイオテクノロジーを融合した医薬品や、環境保全やCO2削減などの課題に貢献しうる技術も、日本のものづくりの優秀さから注目されています。」
「GTBは、世界の注目を集めているバイオエコノミー地域であり、東京には医薬品、食品、化学部門のバイオテクノロジー関連企業の本社が集中しており、世界トップクラスの研究者や研究機関が多数存在し、大学、企業、スタートアップの優れたエコシステムが形成されています。この先進コミュニティから多くの科学的イノベーションが生まれています。」
「海外の企業やベンチャーキャピタルにとって東京は非常に魅力的な地域です。北はつくばエリアから、南は湘南エリアまでの8つのエリアで構成されているGTBは、2030年までに世界最高峰のバイオエコノミーの1つに、そして世界をリードするイノベーションセンターになるというビジョンの実現に貢献できます」
日本のバイオテクノロジーブームからどのようなビジネスメリットがもたらされるか、ご興味がありましたら、ぜひジェトロにご連絡ください。