陸上
堀川貴弘2021年8月5日 14時26分
東京オリンピック(五輪)の陸上競技が開催されている国立競技場で好記録が相次いでいる。陸上は先月30日から始まり、4日までに男女の400メートル障害と女子三段跳びの3種目で世界新記録が誕生。そのほかにも五輪記録や地域記録が続出している。
3日から2日連続で男女400メートル障害で世界記録が飛び出した。男子は気温36度、女子もそれに近い、好条件とはいえない昼に実施された種目だった。
男子のカルステン・ワーホルム(ノルウェー)が出した45秒94は、自身の持つこれまでの世界記録を0秒76も短縮する驚異的な世界新だった。
女子のシドニー・マクラフリン(米)も自身の世界記録を0秒44更新する51秒46をマーク。ワーホルムもマクラフリンも今年に入って樹立した世界記録を更新したことになる。両種目ともに2位の選手もそれまでの世界記録を上回った。
このほか、女子100メートルではエレーン・トンプソンヘラ(ジャマイカ)が、伝説のスプリンター、故フローレンス・ジョイナー(米)が持っていた五輪記録を33年ぶりに更新。男子100メートル準決勝では蘇炳添(中国)が9秒83のアジア記録を出している。
選手や関係者が要因として口々に言うのは、国立競技場の高速トラックとスパイクシューズの進化だ。
ワーホルムは「素晴らしいトラックだ」と言えば、男子200メートルで3位に入ったノア・ライルズ(米)も「力をあまり使わないで走れる感じだ」と高評価。トラックはイタリアのモンド社製。1992年バルセロナ五輪から東京五輪まで8大会連続で採用されている。表面はゴム製で、ウレタン製よりも反発力や耐久性に優れる。また、裏面の六角形構造も反発力を生む助けになっている。
スパイクについても各社が軽量化や足へのフィット感、靴底のプレート素材などで改良を進めている。ナイキ社製が目につくが、マラソンや長距離ほど「1強」という感じではない。
ワーホルムはプーマと協力してスパイクを開発していることを認めた上で「テクノロジーの発達は常にある。ただ、自分たちの力を発揮することが重要で、技術だけには頼りたくない」とも言っている。(堀川貴弘)