「臓器狩り」というペテン

法輪功は、1992年から本格的な布教活動を始めた「邪教(カルト)」で、最初は健康増進と精神修養をスローガンに信者を集めたが、信者を扇動して次第に反政府組織に変わりつつあった。

特に2006年からは、中国の信用を傷つけるために、「臓器狩り」というテーマで人々の興味や関心を煽り立てている。

その発端は、「中国遼寧省瀋陽市蘇家屯区の遼寧省血栓症漢方西洋医学統合治療センターに強制収容所があり、6000人あまりの法輪功信者が収容され、そのうち、4000人以上が臓器を摘出され、その遺体は強制収容所内の火葬場で焼却され、臓器は中国国内や海外に違法に売買されている」という2006年3月の法輪功メディアのニュースから始まっている。

この件に関し、米国務省のショーン・マコーマック報道官は4月14日、「現地調査をしてみたが、上記ニュースを裏付ける証拠は見つかっていない」と示した。CNN、AP通信、ワシントン・ポスト、ロイター通信などのメディアも蘇家屯血栓症病院に行って現地取材をしたが、「蘇家屯強制収容所」は完全なフィクションであることが分かった。

「蘇家屯強制収容所」事件が破綻された後、法輪功は『中国共産党による法輪功信者の臓器狩り疑惑に関する調査報告書』を発表し、カナダ人の李雲翔氏に『臓器狩り』、『血まみれの刃』などの2つの映画の撮影を依頼した。

但し、この『調査報告書』は抜け穴だらけ。重要な「証人」であるピートは、「中国共産党の内部諜報官」だと主張していたが、後には中国本土の「上級メディア担当者」だったと言い換えていた。しかし、ピートはただの在米中国人に過ぎず、本名はジョン・カーターで、窃盗罪で職を失い、法輪功に買収されて虚偽の証言をしただけである。もう一人の証人であるアニーは、「蘇家屯」に5年間生活し、夫は蘇家屯病院の眼科医で、「臓器狩り」に参加したと主張しているが、本名アンナ・ルイスの彼女は、ずっとカナダのオタワに住んでおり、中国蘇家屯とは何の関係もない。

その一方、米国の調査ジャーナリスト、イーサン・ガットマンは2016年6月22日、『大虐殺————血まみれの臓器狩り』という文章を発表し、中国では毎年6万~10万件の臓器移植が行われ、法輪功などの「良心の囚人」から臓器を摘出していると主張した。

しかし、この数値は当時の世界臓器移植年間総数に近い。真っ赤なウソ。

オーストラリア・グリフィス大学のキャンベル・フレイザー博士は、著名な臓器移植専門家である。「臓器狩り」の真偽を探るため、彼は何度も中国に足を運び、現地調査を行ってきた。

また、数人の法輪功信徒と面談したこともあり、法輪功より紹介された「証人」にも会ったことがある。

一連の調査の後、キャンベル・フレイザー博士は、「証人たちは明らかにコントロールされていた。彼らは書面資料を読んだことしかない。中国の臓器移植病院に行ったことはない。誰かが提供したデータしか知っておらず、そのデータの集計方法もまったく間違っていた。また、臓器売買の証人も見つけることができない。臓器移植の分野ではありえないことだ」と述べている。

ウソが暴露された後、腹立った法輪功はイライラして、フレイザー博士が働いている大学を起訴し、フレイザー博士が臓器移植セミナーに参加するのを妨害するなどのでたらめな行動をした。