「菅おろし」がやんだ自民党 東京五輪を前に主導権争いの号砲 | TECH+
政府の新型コロナウイルス対策は世論に支持されていないのに、自民党では幹部がこぞって菅義偉首相の総裁再選を支持し、「菅おろし」の声はぴたりとやんだ。挙党一致で難局に臨むといえば聞こえはいいが、一皮めくると、秋以降をにらんだ主導権争いはすでに始まっている。党内の微妙なパワーバランスの上に成り立つ菅政権は「終わりの始まり」の危うさをはらみつつ、夏の政治決戦となる東京都議選に突入する。「私は無関係」 5月17日、自民党本部で開かれた定例記者会見で幹事長の二階俊博から意外な一言が飛び出した。「1億5000万円が支出された当時、私は関係していない」。真意を確認しようとする質問に、二階は「私は関与していないということを言っているわけだ」と繰り返した。 2019年参院選の広島選挙区(改選数2)で議席独占をもくろんだ自民党は、2人目の公認候補として元法相の河井克行の妻・案里を擁立。克行らが代表を務める政党支部に党本部から1・5億円を投入し、全面支援した。しかし選挙後、大規模買収事件で案里は当選無効になり、4月25日の再選挙で自民党は敗北した。巨額資金と事件との関連は解明されていない。 19年当時も選挙を仕切る幹事長職にあった二階が「関係していない」と言ったのは、もちろんとぼけたのではない。2月で82歳になったが、ここ一番の切れ味は健在だ。会見に同席した二階側近で幹事長代理の林幹雄はこう続けた。「広島に関しては、実質的には当時の選対委員長が担当していた」 林がほのめかした相手は元経済再生担当相の甘利明。急に矢面に立たされた甘利は翌日、「党から給付された事実を知らない。1ミリも関わっていない」と苦笑交じりに記者団に語った。 常識的には二階を飛び越えて甘利が1・5億円を差配することなどあり得ない。二階と林は甘利が否定するのを織り込み済みで、責任のなすり合いを演じてみせたのだ。 それはなぜか。二階の発言を伝え聞いた閣僚経験者は当然とばかりに解説した。「そりゃ、名前を出せない人が背後にいるでしょう」 19年参院選で当時の首相・安倍晋三と官房長官の菅は、党広島県連の反発をよそに、案里陣営に肩入れした。会見での二階の発言は「まさか1・5億円問題に知らん顔するつもりではないだろうな」という2人へのブラフだったとみていい。【財務省】衆院選やコロナ「第5波」見据え、歳出圧力高まる「3A」が結集 この話には伏線がある。 5月3日にBSフジの番組に出演した安倍は、司会者から菅の評価を尋ねられてこう答えた。「本当にしっかりやっていただいている。総裁選を去年やったばかりで、1年後にまた総裁を替えるのか。当然、菅総理が継続して職を続けるべきだ」 昨年8月に安倍が退陣表明した際、いち早く菅支持を打ち出して自民党総裁選の流れを作ったのは二階だった。その功績あって、党務は二階と国対委員長の森山裕を中心に回っている。一方、乗り遅れた最大派閥の細田派と麻生派には人事などで不満がくすぶっていた。 副総理兼財務相の麻生太郎に近い衆院議員は「安倍が番組で菅支持を表明することは麻生も事前に承知していた」と明かす。安倍政権時代から麻生はことあるごとに安倍の私邸を訪ねて意見交換するなど盟友関係にある。2人が足並みをそろえて二階の機先を制した狙いは、もちろん次の党役員人事での幹事長ポストだ。 安倍の退陣後、有力な総裁候補が見当たらないのが細田派の悩み。麻生派には規制改革担当相の河野太郎というカードがあるものの、閣内で新型コロナのワクチン接種政策を担っている河野を「菅おろし」の主役にしては筋が通らない。いきおい、菅を支えつつ政権運営の主導権を握るのが安倍、麻生の共通戦略になる。 それに対し、二階にとっては幹事長にとどまり続けることこそが力の源泉だ。参院広島選挙区再選挙で「政治とカネ」の問題が党への逆風になったのは、元はといえば安倍と菅が案里を優遇したのが原因で、それを棚に上げて幹事長交代など認めるわけにはいかない。 そんな二階の思いが、1・5億円に「関係していない」という先の発言にはにじみ出ている。後日、二階は「党の組織上の責任は我々(総裁、幹事長)にある」と微妙に軌道修正したが、それ自体は大した問題ではない。 こうした中、自民党本部で興味深い会合が発足した。日本の半導体戦略を検討する議員連盟。甘利が会長を務め、安倍と麻生は最高顧問に就いた。5月21日の設立総会で、麻生は詰めかけた報道陣を見回しながらあいさつした。「A、A、A。3人そろえば何となく政局って顔だが、(記者の)期待は外れるから、間違いなく。半導体のわからん人たちはここに来てもまったく意味がない」 12年12月に発足した第2次安倍内閣は安倍、麻生、甘利と菅が政権の骨格で、それぞれの姓の頭文字を取って「3A+S」と呼ばれた。麻生はそれに引っかけて3人の影響力を誇示したのだ。 もちろん、4月の日米首脳共同声明に「半導体を含む機微なサプライチェーンについても連携する」と盛り込まれたように、半導体の確保は日米の経済安全保障上の重要課題になっている。議連の主眼はこの問題で政府を後押しすることにあるが、望むと望まざるとにかかわらず、政治的な意味合いを帯びる。その証拠に、総会に二階派幹部の姿はなかった。 やや話はそれるが、一時沈静化していた1・5億円問題が再燃したのは、参院広島選挙区再選挙の後、前政調会長の岸田文雄が党広島県連を代表して使途の説明を党本部に申し入れたことがきっかけだった。 結果として、広島を含む衆参3選挙の「全敗」に早くけりをつけたかった自民党は悪夢をずるずる引きずることになり、党関係者は「なぜ蒸し返すようなことをしたのか」と岸田の政治センスに首をかしげた。 他方では、岸田が安倍と麻生に接近して、意図的に二階に揺さぶりを仕掛けたといううがった見方もあり、総裁選に絡んで派閥領袖の思惑は交錯している。【厚生労働省】感染拡大防止へ、歯科医のコロナワクチン接種も可能に入管法改正を一転断念 菅政権の求心力低下は国会対策にも表れた。外国人の在留管理を厳格化する入管法改正案の衆院審議が大詰めを迎えていた5月18日、政府・与党は突然、今国会での成立を断念した。継続審議扱いになる見通しだが、秋までに衆院が解散されるため、事実上の廃案にほかならない。 改正案は、国外退去処分を受けた外国人が入管施設に長期収容されている問題を解消するのが目的だった。送還まで支援者や弁護士らの監理の下に施設外で生活できる「監理措置」を設けた半面、同じ内容の難民認定申請を3回以上した場合は申請手続き中でも送還できるようにした。入管行政に対する世論の批判に配慮し、硬軟両様の対策を盛り込んだのが特徴だ。 しかし、政府が改正案を閣議決定した後、名古屋出入国在留管理局の施設に収容中のスリランカ人女性が3月に死亡。体調不良を訴えていたにもかかわらず、適切な治療が受けられなかった疑いがあるとして、野党は法務省に監視カメラの映像開示を要求した。 今国会での成立を目指す与党は、開示の代わりに法案修正で立憲民主党など野党の軟化を促したが、5月14日夜、合意寸前で協議は決裂。森山ら自民党国対幹部からは「来日した遺族へのポーズに過ぎなかったのか」と野党への批判が噴出し、週明けに衆院法務委員会で採決する方針をいったんは固めた。 それがあっさりひっくり返ったのは、報道各社の週末の世論調査で、政府の新型コロナ対策への不満から内閣支持率が軒並み低下したことが大きかった。 先述したように改正案には非正規滞在の外国人の処遇改善につながる部分があり、実は野党も「局地戦には勝ったが、長期的な評価は難しい」(立憲民主党議員)と、与党に成立を断念させたことを手放しでは喜んでいなかった。裏を返せば、政権に勢いがあるときなら、与党には強気で採決に臨む選択肢もあっただろう。 ただ、公明党は強行採決だけは回避したいのが本音だった。参院法務委員会の委員長は同党の山本香苗。万が一、採決時に荒れる場面がニュースで繰り返し報じられたら、東京都議選(6月25日告示、7月4日投開票)に悪影響が出ると懸念したからだ。 それだけではない。新型コロナの収束に一丸となるべき場面なのに、政権には末期症状ともいえる緩みが目立ち始めた。 副防衛相の中山泰秀は5月20日、参院外交防衛委員会に遅刻し、流会になった。その1週間前には副厚生労働相の三原じゅん子が参院厚労委に遅刻し、菅が19日の参院本会議で「今後このようなことが起こらないよう、政府全体で気を引き締めて国会対応に当たる」と陳謝したばかりだった。 官房長官の加藤勝信は20日、副大臣と政務官を急遽、首相官邸に集め、「このような形で注意喚起するのは極めて異例のことだと強く認識していただきたい」と苦言を呈した。【外務省】積極的な「ワクチン外交」で存在感発揮へ小池の次の一手は? 有力な「ポスト菅」候補がいないせいで、自民党内では衆院選前の総裁交代論は高まっていない。しかし、菅が「安倍・麻生ライン」と「二階・森山ライン」の一方に重心を移せば政権はたちまち不安定化する。それを見越して、二階派幹部は「幹事長は誰でもできるわけではない。二階さんのような人がほかにいるのか」と菅をけん制している。 衆院解散・総選挙は秋の可能性が極めて高く、都議選はその前哨戦になる。4月の衆参3選挙を落とした菅にとっては負けられない戦いだ。 自民党は昨年の都知事選に独自候補を立てず、知事の小池百合子と敵対しない戦術に転じた。さらに、17年都議選で都民ファーストの会と組んだ公明党が今回は自民党と選挙協力する。議席回復に向け、二階を中心に着々と手は打ってきた。 それでも主役はやはり小池だ。なかなか都議選への態度を表明しない小池を巡って、永田町では「東京五輪中止を宣言して世論を味方につけるのでは?」「自民党から国政復帰するつもりだ」などと臆測が飛び交い、二階は「(都知事選を)1人で戦って勝利を収めたことを大いに評価したい」と小池とのパイプを誇示する。 菅は党内実力者の政治的駆け引きを横目でにらみつつ、高齢者へのワクチン接種を早急に完遂させるという二正面作戦を強いられている。首相再選へのハードルはなお高いと言わざるを得ない。 (敬称略)【政界レポート】菅の政権運営を左右する6月 全てはワクチン次第か……
バッハ会長の広島訪問「被爆地の政治利用」 地元市民団体が「訪問中止」を申し入れ:東京新聞 TOKYO Web
バッハ会長
来日中の国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が調整している広島市訪問は、被爆地を政治利用し被爆者を冒瀆(ぼうとく)するものだとして、地元市民団体が12日、バッハ氏の訪問中止を求めて広島県と市に申し入れた。
市民団体「東京五輪の中止を求める広島連絡会」のメンバーが県庁で担当者と面会。代表の足立修一弁護士は「新型コロナウイルス下での五輪開催強行を正当化するためにバッハ会長が『核のない平和な世界』のイメージを利用することは、被爆者に対する冒瀆」などとする申し入れ書を手渡した。
メンバーからは、東京都に新型コロナの緊急事態宣言が発令されている中での広島訪問を疑問視する声も上がった。県の担当者は「広島で感じたことを世界に発信していただくことには意義がある。防疫体制が取られているか、確認する」と応じた。
IOCのバッハ会長の広島市訪問中止を県の担当者に申し入れる足立修一弁護士(右)=12日午後、広島県庁
訪問は16日の予定で、同日にIOCのコーツ調整委員長の長崎市訪問も検討されている。
インターネットの署名専用サイトでは別団体がバッハ氏訪問中止を求める署名を呼び掛けており、1週間で8千人以上が賛同している。(共同)
猪口邦子議員の自宅で火事 2人死亡 亡くなったのは夫と長女か 確認を進める 東京 文京区 | NHK
27日午後7時すぎ、東京・文京区小石川の6階建てのマンションで「焦げた臭いがする」と付近の住民から警視庁に通報がありました。建物の窓から炎が噴き出すなど激しく燃えて、ポンプ車など30台以上が出て活動にあたり、火は5時間半後にほぼ消し止められましたが、火元とみられる6階部分のおよそ150平方メートルが焼けました。救助された女性1人が搬送先の病院で死亡したのに続き、もう1人の遺体が現場から見つかったということです。警視庁によりますと、火元とみられる6階の部屋には自民党の猪口邦子参議院議員と家族が4人で暮らしていて、議員本人とは連絡がとれているものの、夫で東京大学名誉教授の猪口孝さん、それに30代の長女と連絡が取れていないということです。警視庁は亡くなったのはこの2人とみて確認を進めるとともに、消防と現場検証を行って詳しい出火の原因などを調べることにしています。現場は都営地下鉄の春日駅や東京メトロの後楽園駅に近い住宅などが建ち並ぶ地域です。
【参院選コラム】改憲勢力、9条改正に踏みこむか 有権者は投票で意思を示そう:東京新聞 TOKYO Web
日本記者クラブ主催の討論会に出席した与野党の9党首。憲法などで議論を交わした=6月21日、東京・内幸町
「真正面から9条改正でやってくるんじゃないですか」。参院選の最中に会った護憲の立場の野党関係者が警戒感を持って語った言葉が気になった。岸田文雄首相も「(改憲勢力が)内容で結集できるよう議論を進めていく」と訴える。参院選後、改憲論議はどうなるのだろうか。戦後日本の平和主義の大枠を定めてきた9条の扱いが、ヤマ場を迎つつある。
▽ウクライナ侵攻で風向き変化
今回の参院選(10日投開票)は「憲法改正の是非」が主要な争点に挙げられている。衆院は「改憲勢力」に位置付けられる自民党と日本維新の会、公明党、国民民主党の4党が、国会での改憲発議に必要な3分の2以上の議席を占めている。
参院も6月22日の公示前勢力でぎりぎり3分の2を超えていた。今回の選挙でこのラインを確かなものにすれば、改憲を政治日程に乗せる動きが具体化しそうだ。与野党ともに憲法を巡る訴えを強めるのは、こうした背景がある。
岸田政権では通常国会の会期中、衆院でほぼ毎週、憲法審査会が開かれた。選挙情勢を踏まえると、参院選後は当面、落ち着いた政治環境にもなるとみられる。改憲勢力が好機と受け止めるとは当然だ。
こうした中、自民党はどのような改憲原案を検討してくるのだろうか。
自民党は安倍政権下で、緊急事態条項の創設などと並んで、9条への自衛隊明記を盛り込んだ「改憲4項目」をまとめた。
だが党内では、9条改正はハードルが高いとして、緊急事態条項の中の「国会議員の任期延長ならやりやすいのでは」(党幹部)と、9条回避を唱える議員も少なくなかった。
風向きが変わったのは、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻からだ。「防衛力の抜本的強化」(首相)が喫緊の課題となる中で、9条改正に再び焦点が当たってきた。
▽足並みそろえる自・維・公
首相は5月3日、改憲推進派の大会で、9条改正について自民党改憲案4項目に関し「早期実現が求められる」とビデオメッセージを寄せた。
維新は5月18日、戦争放棄を定めた9条1項、戦力不保持と国の交戦権否定をうたった2項を残したまま「9条の2」を新設し自衛隊を明記する点で、自民党案と共通する「条文イメージ」を発表した。
あまり注目されなかったが、公明党も踏み込んだ。5月の衆院憲法審で北側一雄副代表が、首相や内閣の職務を規定した72、73条に自衛隊を明記するという、これまでにない具体的な案を示したのだ。
公明党は参院選公約でも、従来の「慎重に議論」から「検討を進める」へと表現を進めた。9条明記で自民と維新、公明は足並みをそろえつつあると言っていい。
▽憲法の理念実現が先
こうした動きに、主要野党は反対の論陣を張る。立憲民主党の西村智奈美幹事長と、共産党の小池晃書記局長は、6月26日のNHK討論番組で、生活や暮らしで実現されていない憲法の理念があるとして、その実現こそが求められると歩調を合わせた。社民党の福島瑞穂党首は護憲を訴えて声をからす。
筆者は先日、「立憲デモクラシーの会」に加わる杉田敦法政大教授(政治理論)に話を聞く機会があった。改憲は国論を二分するため、相当な政治的エネルギーが必要となり、政治の空白を招いてしまう。内外の重要課題が山積している中で、そのような無責任なことをするべきではない、という話だった。
だが、改憲への動きは参院選後を見据え、強まりつつあるように見える。
自民党の茂木敏充幹事長は同じNHK番組で「できるだけ早いタイミングで改憲原案を国会で可決したい」と述べ、選挙後に主要政党間で改憲への日程感の共有を進める考えを示した。
維新の藤田文武幹事長も、21年衆院選で議席を伸ばしたことが、改憲論議を進めるきっかけになったとして、早期改憲への意欲を強調した。
ここから浮かぶのは、秋の臨時国会以降、自民、維新両党が中心となって改憲原案の作成を進め、来年の通常国会で衆参両院の憲法審査会に提出し、議論を進める日程感だ。
自民党幹部は「最速で通常国会の会期末には発議もあり得る」と話す。
このような展開になった時に、われわれはどのように受け止めればいいのか。ウクライナでの戦争は続いており、防衛力を確かなものにするためにも、自衛隊の明記は必要だと考えるのか。それとも、社会保障や教育の充実など、もっとやるべきことはあるとして、憲法理念の実現を求めていくのか。
日本の未来を決めるのは一人一人の有権者だ。どのような未来がいいのか、しっかりと頭に描いて10日の投票で意思を示そう。(共同通信編集委員兼論説委員=内田恭司)
安倍派5人衆の世耕弘成氏、「裏金」を高級クッキー店でたびたび支出…食べたのは誰? 「一見さんお断り」で入手困難:東京新聞 TOKYO Web
自民党安倍派の実力者「5人衆」の一人で、前参院幹事長の世耕弘成(ひろしげ)氏の政治団体は、派閥からキックバック(還流)されたパーティー券収入から頻繁に「贈答品」を購入していた。
中でも目を引くのが購入先だ。訂正した収支報告書には、一見さんお断りの老舗洋菓子店の名前がずらり。
この店の看板商品という高級クッキーを巡っては、世耕氏に新たな疑惑も持ち上がっている。(加藤豊大、佐藤裕介)
自民党の世耕弘成前参院幹事長
◆裏金から「贈答品代」毎月出費
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、世耕氏の場合、収支報告書に不記載だった還流分は、2018年からの5年間で総額1542万円に上った。
2月末に訂正した世耕氏の資金管理団体「紀成会」の2021~22年分の収支報告書には、還流分の使い道として「贈答品代」の記載が追記されていた。
贈答品の購入先として頻繁に登場していたのが、創業150年になる東京都内の老舗洋菓子店だ。
2021年は6件で計12万6000円。2022年になると、毎月欠かすことなく月1回の頻度で購入しており、総額は25万2000円に上っていた。
世耕氏は、裏金事件を受けた1月の記者会見で、「現状把握できている支出はすべて政治活動費で、不正な目的や私的な目的でなされた支出は一切確認されていない」と説明していた。
「政治活動のために使った」という世耕氏。では、いったい、どんな人に、何のために、老舗洋菓子店の商品を贈っていたのだろうか。
世耕氏の事務所に問い合わせたが、「お答えしない」という。
裏金事件を受け、訂正した世耕氏の資金管理団体「紀成会」の収支報告書。「贈答品代」として老舗洋菓子店に毎月支出した記載がある
◆注文しても手に入るのは1年先
世耕氏が、派閥から還流された金で購入していた老舗洋菓子店は、ただの店ではない。
SNS上で「1年先からしか予約が取れない」「一見さんお断りの超高級クッキー」などと取り上げられている人気店だ。
店に取材すると、創業は1874(明治7)年。明治政府が建てた迎賓館「鹿鳴館」の舞踏会にも、店のお菓子が提供されたという。
看板商品のクッキー缶は、サイズに応じて8000~3万4000円。店の担当者は「今注文を受けても、提供できるのは1年先」と話す。
注文するにも会員の紹介が必要だ。ただ、SNSの投稿で注目を浴び、会員数が近年急増。注文が殺到したため2022年6月から新規の会員登録を停止しているという。
店の担当者は「会員数は非公開」とし、「立場があるからお譲りするわけでもない。会員はさまざまな人がいる。政治家もいるが、全体の数からいうと多いわけではない」と話す。
世耕氏がよく利用しているのか尋ねると「個人情報に関わることなので言えない」とのことだった。
◆ロッキード事件でアリバイに
ロッキード事件で逮捕され、東京地検を出る田中角栄元首相=1976年7月、東京・霞が関で
この老舗洋菓子店は、1976年に発覚した「政治とカネ」を巡るロッキード事件にも登場する。
検察が押収した田中角栄元首相の秘書の手帳に、店の名前が書かれていたのだ。
店の付近で現金授受があったとにらみ、検察側が追及すると、秘書は「店に菓子を引き取りにいった」として現金授受を否定した。
ところが、手帳に記された日は店の休業日だったことが、法廷に呼ばれた店の経営者の証言で判明。秘書のアリバイが崩れることになった。
◆地元支援者「世耕さんからもらった」
裏金から支出した時期とは異なるが、2023年に世耕氏から直接、この老舗洋菓子店の高級クッキーをもらったという人物が現れた。自身のブログに赤裸々につづっていた。
この人物は、世耕氏の資金管理団体「紀成会」の収支報告書によると、世耕氏の有力な地元支援者のようだ。世耕氏の選挙区である和歌山市在住。「会社相談役」という肩書きで、2020~22年の3年間に総額236万円を献金していた。
この地元支援者は、ブログで自身を和歌山市内の木材加工会社の相談役と紹介している。
ブログでは、2023年11月ごろ、東京都内で世耕氏と会食。世耕氏と別れた後、「世耕さんからもらったクッキー缶を片手に」銀座のクラブに立ち寄ったとしている。
◆「クッキー缶のおかげでヒーロー」
クラブでクッキーを振る舞うと、「ホステスのみんなからは今まで聞いたことのないような歓声が」と明かし、「クッキー缶のおかげで今夜はヒーロー。世耕先生、ありがとう」と、世耕氏への感謝の言葉をつづっていた。
世耕氏から老舗洋菓子店のクッキー缶をもらったことをつづった地元支援者のブログ(一部画像処理)
木材加工会社の関係者は、この地元支援者について、本紙の取材に「社内では相談役と呼んでいる」と明かした上で、ブログの執筆者であることも認めた。ただし、ブログの内容については「本人が出張中で分からない」とのことだった。
公職選挙法では、政治家が選挙区内の人に金品を贈ることを禁じている。
世耕氏の事務所に、ブログに書かれた内容が事実か尋ねたが、「お答えしない」とのことだった。
◆世耕氏「会食費の負担という思いで」
世耕氏は8日になって、国会内で報道陣の取材に応じた。
世耕氏は、高級クッキーを贈った地元支援者を「個人的にお付き合いのある経営者」と明かした。
クッキーを贈った経緯については「こちら側から応分の(会食)費用負担をお願いしたが固辞された。せめて一部の負担をという思いで(クッキー)をお渡しした」と説明。「いわゆる公選法違反が禁じる寄付には当たらない」と違法性を否定した。
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なぜ日本政治にM&Aが起こらないのか? 御厨貴東京大学先端研フェロー | M&A Online
大派閥の固定化に伴う安定志向が政界M&Aを阻んでいると見る御厨フェロー(日本記者クラブ)
国民が政治への関心を失っている。与党支持率は低迷しているが、さりとて野党が勢いづいているわけでもない。日本経済にも停滞感が広がっているものの、2023年には16年ぶりにM&A件数が1000件を突破するなど企業の新陳代謝が進む。なぜ政界ではM&Aが起こらないのか?
派閥の「大分裂」が消えた
政治史が専門の御厨貴東京大学名誉教授 先端科学技術研究センターフェローは「自民党ではM&A以前に、派閥の分裂が起こりにくくなっている」と指摘する。日本記者クラブでM&A Onlineの質問に答えた。
御厨フェローは「昭和時代に三角大福中(三木武夫・田中角栄・大平正芳・福田赳夫・中曽根康弘)の5大派閥が形成されて以来、大きな分裂は少なくなった」と指摘。かつては派閥のトップが総理・総裁を目指し、それが実現あるいは叶わないとなれば分裂した。
ところが三角大福中以降、「元総理が派閥の長として総理・総裁選びに影響力を行使するのが当り前になると、大派閥が固定化される。派閥の解体には大きなエネルギーが必要なので、その気運が削がれてしまった」(御厨フェロー)。
例外として小沢一郎氏(現 立憲民主党衆議院議員)が竹下派を割って、新生党を結成した事例がある。これは小沢氏が「竹下派がこのまま150〜160議席を獲得する巨大派閥になると、政治資金や人事の配分で不満が生じ統率がとれなくなる」として、政権交代による保守権力の継続を考えたのだという。
だが、1993年の衆院選で新生党は55議席しか獲得できず、その後の政権交代は不安定なものとなった。「小沢氏は『100議席に届けば違った展開があった』と振り返っていた」(同)という。
安定志向が政治のM&Aを阻む
御厨フェローは「分裂する力がないからこそ、岸田文雄首相が派閥解体に動いても大きな反発がない。自民党内は安定志向となり、誰もエネルギーを使うことをやりたがらなくなる。安倍晋三元首相も生前に指摘していたが、自民党内で突出する人材が少なくなった。これが2世、3世議員の増加にもつながっている。そうした中で派閥や政党のM&Aは起こりにくい状況だ」(同)と分析している。
このような状況を変えるためには「政治を何とかしたいと考える若い世代が連帯し、地域間でネットワークを構築できれば変革が期待できる」という。
社会課題を解決するスタートアップ起業家にこうした役割が期待できそうだが、「民主党政権が誕生した選挙では、IT企業の若手経営者や関係者が当選した。しかし、民主党が政治家として育てる努力をしなかったため、次の選挙で(ほとんどが)落選した。政党には世代をつなぐ機能が必要だ」(同)と指摘した。
政治のM&Aを実現するには、安定志向ではない若い人材の政界進出と、彼らを持続的に育成する政党の存在が欠かせないようだ。
文:M&A Online
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イラク国会占拠、長期化も サドル師支持者「無期限」:東京新聞 TOKYO Web
31日、イラクの国会を占拠するデモ隊のメンバーら(AP=共同)
【カイロ共同】イラクの首都バグダッドで30日、イスラム教シーア派指導者サドル師の支持者らが国会に乱入し、一夜明けた31日も議場の占拠を続けた。27日に占拠した際はサドル師の呼びかけに応じて短時間で撤退したが、今回はデモ隊が「無期限の座り込み」を主張、混乱が長期化する恐れがある。
30日に国会敷地に乱入したデモ隊は数千人規模と伝えられた。デモ隊は、サドル師と対立する別のシーア派政治勢力が新首相候補を擁立したことに抗議。参加者の1人はAP通信に対し「腐敗した政治階級が国会を開くのを阻止しに来た」と語った。
投票は誰に?各候補者の考えは…東京15区補選 政治献金、憲法9条、原発、選択的夫婦別姓…アンケートしました:東京新聞 TOKYO Web
衆院3補欠選挙(28日投開票)の東京15区(江東区)では、新人と元職の計9人が立候補しています。それぞれの候補は「政治とカネ」や「原発」などの課題に対しどのような考えを持っているのでしょうか。アンケートへの回答を紹介します。(届け出順)※回答文は原則、表現を変えずに掲載しています。
◆質問ごとに候補者の回答を比較する<1>「政治の信頼回復どう訴える」「政治にカネ必要?」(このページ)<2>「企業・団体献金禁止に賛成?」「連座制導入に賛成?」<3>「憲法9条の改正どう考える」「原発への考えは」<4>「選択的夫婦別姓制度の導入は」「小池都政の評価は」◆候補者ごとに回答を読む(上から届出順)福永活也(ふくなが・かつや)さん(43)=諸派・新=弁護士乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)さん(48)=無所属・新<推薦>国民民主、ファーストの会=ファーストの会副代表吉川里奈(よしかわ・りな)さん(36)=参政・新=看護師秋元司(あきもと・つかさ)さん(52)=無所属・元=元環境副大臣金沢結衣(かなざわ・ゆい)さん(33)=日本維新の会・新<推薦>教育無償化を実現する会=元江崎グリコ社員根本良輔(ねもと・りょうすけ)さん(29)=諸派・新=IT会社経営酒井菜摘(さかい・なつみ)さん(37)=立憲民主・新=元江東区議飯山陽(いいやま・あかり)さん(48)=諸派・新=麗沢大客員教授須藤元気(すどう・げんき)さん(46)=無所属・新=元総合格闘家<質問1>政治とカネを巡る事件が後を絶ちません。政治の信頼回復についてどう訴えますか。福永活也さん=諸派「NHKから国民を守る党」・新人 法制度として中長期的には、政治家も個人事業主として原則課税対象として経費支出は領収書等により疎明すべき。制度が整うまでは自主的に収支の内容や目的の明細を公表して国民の信頼に努めるべき。乙武洋匡さん=無所属・新人 政治資金規正法を改正し、政治とカネの問題を根本から決着。具体的には、政治資金収支報告書の虚偽記載への罰則強化、政治資金・政党助成金の監督をする第三者独立機関の設置、調査研究広報滞在費などの使途を公開。吉川里奈さん=参政党・新人 参政党は結党当初から党運営については党費や個人からの寄付等でまかなっています。既存政党にはなかったガラス張りでクリーンな資金運用を知っていただければ、有権者からの信頼は得られると考えています。秋元司さん=無所属・元職 情報をディスクローズして、常にガラス張りの状況を作り上げる体制を整備します。金沢結衣さん=日本維新の会・新人 今国会中に緊急に行うことは、政治資金規正法の罰則強化・連座制導入、パーティーの見直し、外部監査の徹底等の透明化を図る。さらに、納税者目線でのクリーンな政治の実現に向けての改革を継続する。根本良輔さん=諸派「つばさの党」・新人 統一教会という反日カルト宗教がバックにいる自民党が政権与党の時点で信頼回復もない。同じく政権与党の公明党も創価学会というカルト宗教が運営している。この時点で政治の信用回復なんてものはあり得ない。酒井菜摘さん=立憲民主党・新人 今の江東区や国会での政治とカネの問題は、すべて自民党によるもの。私たちが勝利することで、お金に汚い、古い自民党政治ときっぱり決別し、国民に信頼される、まっとうな政治を取り戻したい。飯山陽さん=諸派「日本保守党」・新人 今般の事件は氷山の一角である。政治資金規正法、公職選挙法など関連法の改正はもちろんのこと、議員の家業化、議員特権含め抜本的な制度見直しが必要。議員報酬の引き下げ、特権、世襲をなくす法改正を訴える。須藤元気さん=無所属・新人 収支報告書漏れ分は政治家個人の所得として課税対象とし、申告漏れに対しては追徴課税を納めて頂くべきであり、悪質な場合は国税局が所得隠しの容疑として捜査すれば政治の信頼は取り戻せる。<質問2>政治にお金は必要ですか。(1)大いに必要 (2)ある程度必要 (3)あまり必要ない (4)まったく必要ない福永活也さん=諸派「NHKから国民を守る党」・新人...
逮捕者まで出て「カオスだった」 大学生が追いかけた衆院東京15区補選 いまの政治に希望は見えたのか:東京新聞 TOKYO Web
他陣営が演説中、電話ボックスに上り大音量で演説する「つばさの党」代表の黒川敦彦容疑者=4月16日、東京都江東区で
政治団体「つばさの党」による他陣営への演説妨害行為が、事件に発展した4月の衆院東京15区補欠選挙。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件への怒りなどを背景に、与党候補が不在となり、投票率は過去最低を更新。国民の間に広がる「政治不信」を、象徴する選挙ともなった。与党の責任は大きいが、野党も批判の受け皿になりきれていない。同補選で、各候補の演説を聴いて回った大学生たちに、いまの政治はどう見えるか。(山田雄之、森本智之)
◆野党の見本市のような選挙
2019年以降、汚職事件や公職選挙法違反事件で、衆院議員や区長(いずれも辞職)が相次いで立件された江東区。加えて派閥の裏金事件による逆風のなかで、自民党は独自の候補を擁立できず、衆院東京15区補選は、野党や無所属など過去最多の9人が立つ混戦となった。
つばさの党の候補者らが他陣営を追いかけ、拡声器などを使って演説を聞き取れないようにするなどの行為も問題化。他陣営は演説を中止したり、日程の公表を控えたりするなどの対応を余儀なくされた。
他陣営の演説中に公衆電話ボックスの上から声を上げる根本良輔容疑者=4月16日、東京都江東区で
不祥事に起因する江東区内の選挙が相次いでいる。「政治に期待しても、何も変わらないと思っているかもしれない」。投開票前日の4月27日夜、女性候補の1人は街頭で政治不信に触れて「政治をあきらめないで」と有権者に訴えかけた。しかし、補選の投票率は、過去最低だった17年をさらに14.89ポイントも下回る40.70%にとどまった。
異例ずくめの補選を「野党の見本市のような選挙。学生が多くの候補者の話を聴ける機会になれば」と位置づけて、フィールド調査をしたのが、法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)のゼミだ。大学2年から院生まで十数人が参加し、告示日や選挙サンデー、最終日の演説を聴き、外交や憲法、消費税など各候補が重視する問題を演説時間から分析した。
◆陣営同士が争い、警察が介入「演説を聴きに来た有権者もいたのに…」
各候補の訴えや選挙は、学生たちにどのように映っただろうか。
3年白井大也さん(20)=横浜市=は選挙サンデーの4月21日、つばさの党の妨害の影響で、女性候補の事務所に演説場所を教えてもらえず困ったという。ようやく目当ての候補の選挙カーを見つけたと思ったら、つばさの党の関係者が大音量の罵声をスピーカーで流し始め、その場の演説も中止となった。
街頭演説会場を警備する多数の警察官=4月21日、東京都江東区で
「陣営や支援者同士で争いになり、警察も来てカオスだった。仕事がない日曜日だから、と演説を聴きに来た有権者もいたと思う。聴かせてあげたかった」と残念がる。選挙運動の最終日、有権者の声援を受けた男性候補が涙の演説を行い、「人柄と熱意に心打たれた場面もあった」という。
気になったのは、やはり自民の裏金問題だ。「税金の使われ方が分からないのは不満だし、クリーンな政治をやってもらいたい。でもどの野党に入れたとしても過半数は取れない。政治が変わらないなら投票行かなくていいや、と若者は思っちゃうんじゃないか」
衆院東京15区の補欠選挙が告示され、街頭演説に集まった人たち=4月16日、東京都江東区で
「もう少し具体的な政策を聴きたかった」と振り返るのは、3年佐川太郎さん(20)=八王子市。告示日と最終日に演説を聴いた女性候補は、政党の理念を説明する場面が多く目立ったという。「どのように政党の理念を実現するのか、候補者が考える方法が知りたかった」と話す。
政権交代を望む声が上がっていることには、少し懐疑的だ。「自民党が長年にわたり政権運営してきた。批判に慣れている野党がいきなり交代して、与党として新たな政策を考えていけるのか、不安はあります」
◆真剣に演説を聴いたら「好感を持てた候補も」
候補者4人の演説を聴いたという3年加藤巧真さん(21)=同=は「今回ほど真剣に、各候補の演説を聴いたことはなかった。好感が持てた人もいた」と明かし、ある男性候補を「自分が実現したい社会を、分かりやすい言葉で説明していた」と評価した。
補選の投票率は過去最低を更新したが、「国民の政治への関心が低い、とは言い切れないと思う。信頼できる候補を見つけられなかった有権者の中には、白票を投じるのではなく、選挙に行かないことで意思を示す人もいるはず」と話す。
指導した白鳥教授は「政治の閉塞(へいそく)感を表す選挙だった。ただ、政治家の演説をじかに聴くのは貴重な機会。民主主義の実践の現場を学ぶことができ、訴えを分析することで、冷静に候補の主張を受け止める目を養えたのでは」と述べた。
◆「全敗」でも政治不信に向き合わない自民
東京15区と同日行われた島根1区、長崎3区と合わせ衆院3補選は不戦敗を含め、自民の全敗となった。それにもかかわらず、自民の政治不信に向き合う姿勢は、疑問符が付く状況が選挙後も続いている。
「再発防止の話と、自民党の力をそぎたいという政局的な話がごっちゃになっている」。派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法の改正を巡り、党政治刷新本部座長の鈴木馨祐衆院議員は12日のNHKの討論番組で、野党側の出席者をこう批判した。
記者団の取材に応じる岸田首相=17日、首相官邸で
企業・団体献金の廃止など、自民党に抜本的な改正案を求める野党への反論だが、裏金事件の真相究明や改革は重要課題だ。自民の責任者でありながら、野党による「政局」であると、問題をすり替えるような意見には、交流サイト(SNS)でも批判が相次いだ。
環境相との懇談で水俣病の被害者らが発言中にマイク音を切られた問題を巡っても、環境省は大臣の謝罪や、対応力を高めるタスクフォースの新設を余儀なくされた。岸田政権の看板の「聞く力」も問われている。
◆「政権を担えるのか」国民の支持取り込めぬ野党
時事通信の世論調査によると、自民党派閥の裏金が発覚した昨年12月の調査で、岸田政権の支持率は17.1%となり、2009年9月以来2割を下回った。その後も低迷し直近の5月は18.7%だった。
衆院本会議=4月25日
ただ、野党の支持率も低い水準にとどまっている。5月の調査で立憲民主が5.1%、日本維新の会が2.1%。その一方で「支持政党無し」は66.9%に達し、12年に自民党が政権復帰して以降、最も高くなった。政権与党から離れた国民の支持を、野党も取り込めていないのが現状だ。
明治大の井田正道教授(政治行動論)は「金権政治に対する不信があって与党は支持したくないが、野党は分散していて、自民の代わりに政権を担えるのか、その能力にも不信がある。その結果、増えているのが無党派層だ」とみる。今回の補選でも「自民党は嫌だ。でも野党にも入れる気にならない」という人が棄権に回り、低投票率になったと分析する。
◆与野党が競い合わなければ政治は良くならない
与党にも野党にも満足できず、政治から国民の関心が遠のいている。
中央大の山崎望教授(政治理論)は「政権はレームダック(死に体)で、本来は野党にとってはチャンスのはず」と指摘した上で、「最大野党の立民にしても、今の与党に代わる政権構想を打ち出せていない。自民に政治改革が期待できない以上、野党には、国民の不信不満をまとめあげて、対立軸を示してほしい」と注文する。
前述の白鳥教授も「いまの政治不信は与党の責任が大きい」とした上で「自民の1強多弱が問題の根源にある。国会に緊張感がないから、自民は政治と金の問題でも、抜本的な改革案を示さなくて済んでしまう。与野党が伯仲しなければ、政治は良くならない」と野党に奮起を促した。
◆デスクメモ
15区補選を追った大学生の中には、候補の事務所付近に張り込んで、演説を待ち続けた人もいるという。「大人として恥ずかしくないのかよ!」と、つばさの党の関係者が子どもに突っ込まれているニュース映像も見た。若い世代を落胆させるような選挙戦は、これっきりにしたい。(恭)
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